多くの学校で推進される「家庭学習の充実」
自治体や教育委員会から「家庭学習の充実」が推進され、学年×10分(3年生なら30分)のような目安が示されることがあります。保護者にも「宿題を増やしてほしい」という声は根強くあります。
しかし、この「量を増やせば学力が上がる」という前提は、研究と整合しているでしょうか。
研究が示していること
Cooper et al. (2006) の約50研究のメタ分析では、宿題と学力の関係は以下の通りでした。
- 中学・高校 では宿題と学力に明確な正の相関
- 小学校 では関係が弱く、効果が限定的
EEF Toolkit では、小学校段階の宿題の効果は +3ヶ月(中高より小さい)としています。
さらに重要なのは、量よりも質が効果を決めるという知見です。
- 授業と連動している宿題は効果が大きい
- フィードバックが伴う宿題は効果が大きい
- 目的が不明確な宿題は効果が出にくい
- 多すぎる宿題は学習意欲を下げるリスクがある
考えたいこと
「家庭学習を充実させる」こと自体は悪いことではありません。 問題は、「充実」が「量を増やす」と同義になっていないか、です。
エビデンスに基づくなら、推進すべきは:
- 授業と連動した、目的のある課題
- 子どもが自分のペースで取り組める選択肢
- やったことを翌日の授業で活用する設計
- 家庭環境に依存しすぎない配慮
量の目安よりも、質の設計に注力することが、研究の示す方向です。
参考
- 宿題(小学校) — 本サイトの指導法ページ
- Cooper, H., Robinson, J. C., & Patall, E. A. (2006). Does homework improve academic achievement? Review of Educational Research, 76(1), 1–62.