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Strategy — 最終更新 2026-04-14

EEF Hattie

指導法

二重符号化(言葉+図)

言葉だけでなく図や絵を組み合わせて学ぶことで、理解と記憶が向上する。「言葉+図 > 言葉だけ」は認知科学の基本原則。

学習効果
+4ヶ月
3月時点で、通常より約4ヶ月先の学力水準に到達
エビデンス
★★★☆☆
コスト
¥····
対象
全教科
全学年
Evidence Breakdown

出典別のエビデンス

EEF Toolkit

EEF Toolkit に二重符号化の独立したエントリは無いが、Metacognition and self-regulation(+8)・Digital technology(+4)の認知基盤として位置づく。

Hattie (Visible Learning) d = 0.45

Hattie の効果量は他のメタ分析と比べて楽観的な傾向があり、再現性に疑問が示されている場合があります。参考値としてお読みください。詳しくは エビデンスの文脈 を参照。

Mayer(2009)のマルチメディア学習研究では『言葉+関連図』vs『言葉のみ』で一貫して正の効果。ただし『装飾的な図(内容と無関係)』はむしろ注意を散らす。初学者で効果が大きく、既有知識のある学習者では効果が減衰(expertise reversal effect)。

日本の文脈で考慮したいこと

日本の授業は板書文化が強く、色チョーク・図解・絵カードといった二重符号化的な実践が伝統的に定着している。線分図・関係図・ウェビングなどの『思考ツール』も広く使われており、既に二重符号化の原則は日本の教室に埋め込まれている側面がある。ただし、GIGA スクール端末でのアニメーション・動画の活用で情報過多になると冗長性効果で逆効果になる点に注意(特に小学校低学年で学習者が自分のペースで処理できない場合)。

なぜこの注記があるか:エビデンスと文化的文脈

目次(8)
  1. 一言でいうと
  2. なぜ効果があるのか
  3. 日本の小学校で取り入れるヒント
  4. 研究からわかっていること
  5. 注意したいこと
  6. 主な参考研究
  7. 関連読み物
  8. 関連する学習指導要領

一言でいうと

人間の脳には「言葉で処理する回路」と「イメージで処理する回路」があり、両方を使った方が記憶に残りやすくなります。 説明を聞くだけでなく図を見る、文章を読むだけでなく絵を描く——この組み合わせが学習を強化します。

なぜ効果があるのか

Paivioの二重符号化理論によれば、人間は言語的情報と視覚的情報を別々のチャンネルで処理します。両方のチャンネルで符号化された情報は、片方だけの場合より記憶の手がかりが多くなり、想起しやすくなります。 Mayerのマルチメディア学習の研究でも、「言葉+図」は「言葉だけ」より一貫して学習効果が高いことが示されています。 ただし、図と言葉が無関係だったり、情報が過剰だったりすると逆効果になることもあります。

日本の小学校で取り入れるヒント

  • 理科の実験手順を、文字だけでなく簡単な図解と一緒に提示する
  • 社会科で歴史の流れを学ぶとき、年表と合わせて絵や写真を添える
  • 子どもに「今学んだことを絵と言葉の両方で説明してみよう」と促す
  • 算数の文章題で、問題文を図や線分図に表す活動を日常的に取り入れる
  • 板書で色チョークや図解を効果的に使い、言葉だけの板書にならないよう意識する

研究からわかっていること

  • 「言葉+関連する図」は「言葉だけ」より約4ヶ月分の学習効果の上乗せがあります。
  • ただし「装飾的な図」(内容と無関係なイラスト)には効果がなく、むしろ注意を散らす可能性があります。
  • 図を「見るだけ」より「自分で描く」方が効果が高い傾向があります。
  • 初学者には特に効果が大きく、すでに知識のある学習者には効果が小さくなる傾向があります。

注意したいこと

  • 「とにかく絵を描かせればよい」わけではありません。内容と関連した図を、学習目標に沿って使うことが大切です。
  • 情報を詰め込みすぎると認知負荷が上がり、逆効果になります(冗長性効果)。
  • デジタル教材ではアニメーションや動画が多用されがちですが、学習者が自分のペースで処理できることも重要です。

主な参考研究

  • Mayer, R. E., & Moreno, R. (2003). Nine ways to reduce cognitive load in multimedia learning. Educational Psychologist, 38(1), 43–52. — マルチメディア学習における認知負荷を低減する 9 つの設計原則を整理した論文。後の「マルチメディア学習の 12 原則」の基礎となる実証的枠組みを提示。
  • Clark, J. M., & Paivio, A. (1991). Dual coding theory and education. Educational Psychology Review, 3(3), 149–210. — 二重符号化理論の教育への応用を体系的に論じた論文。言語と視覚の二つのチャンネルが学習を強化するメカニズムを解説。

関連読み物

  • Multimedia Learning』 Mayer, R. E. (2009), Cambridge University Press(第 2 版). — マルチメディア学習の 12 原則を体系化した教科書。上記 Mayer & Moreno(2003)を含む一連の論文群を統合している。

関連する学習指導要領

  • 小学校学習指導要領解説 総則編 — 情報活用能力の育成や、ICTを活用した学習活動の充実が求められています。二重符号化の原則は、視覚教材やデジタルコンテンツを効果的に設計・活用する際の理論的基盤となります。
参考にしている情報源
Clark & Paivio (1991) — Dual coding theory and education
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